極上の休日の過ごし方
はじめまして
日々ストレスに見舞われている日常にあって、たまには心豊かな休日を送りたいという願いをもってこのブログを綴っていこうと思っています。
人の心は弱いもので、張り詰めてばかりいると柔軟性を失ってしまい、機能しなくなってしまいます。
オンとオフのスイッチをうまく切り分けなければなりません。
当コラムが少しでもそのスイッチのオン/オフにお役に立つことができればと思っています。
極上の休日とは
極上の休日の過ごし方は、人によっていろいろです。
ゴルフに行くのが最高という方もいれば、なにもせずに温泉につかるのが一番という方もいらっしゃいます。
齢を取るにつれて休日の楽しみ方も違ってきますし、その人が置かれている立場によっても変わってきます。
私の場合、かつて海上自衛隊で過ごした30年間は、その時々の配置によって当然休日の過ごし方が違っていました。
厳重な即応態勢を維持しなければならず、休日も外出ができない配置もあったからです。
海上自衛隊を退官して商社マンとなると、海上自衛隊の時とはまた異なる過ごし方になりましたし、米国で取締役として過ごしていた時は、当然のことながら日本とは異なる休日の過ごし方になりました。
また、自分で会社を経営するようになるとさらに休日の過ごし方が変わってきました。
ヨット乗りの休日
私にとっての極上の休日の過ごし方は、なかなか出来ないのですが、船の手入れをのんびりとすることです。
私は昔から休日は早く起きるようにしています。休みの日だからと言って遅くまで寝ていることはあまりありません。
家族がまだ誰も起きてこない時間に起きて、キッチンに向かい、自分のためだけのコーヒーを淹れます。
出来上がったコーヒーを持って自室に入り、PCを起動して天気図を確かめます。
その日の天気を確認して、穏やかな一日になりそうであればハーバーに出かけることを考えます。
ヨットの整備は天気次第です。特に木部の多い船は絶え間なくニスを塗る作業をしなければならないので、穏やかに晴れていることが必要なのです。
朝食が終わると、着古したジーンズとワークシャツに着替え、作業道具を車に放り込んでハーバーに向かいます。
ハーバーの駐車場に到着すると、駐車場の前にあるマックで昼食を仕入れ、ハーバーオフィスにある自動販売機で飲み物を買って船へ移動します。
隣近所の船に声をかけたりしながら、今日手入れする箇所を定め、FMのラジオをお気に入りの局に合わせ作業開始です。
荒い目のサンドペーパーで古くなった木部を擦り、だんだん細かいペーパーに変えていき、納得のできる表面になったところでニスを塗ります。ここでニスが乾くまで一休み。ポットで持ってきたコーヒーを飲んだり、ハーバー内の店を見に行ったり、普段行かないバースにカメラを持って行って、面白い船の写真を撮ったりしてきます。
本当はニスを塗った日ではなく、日を改めて上塗りをするのが理想的なのですが、次にいつ来ることができるかわからないので、ニスが概ね乾いたところで、また軽く表面をサンドペーパーで荒し、二度目のニスをかけます。
かけ終わったところで、道具の片づけを始め、最後に残ったコーヒーを飲みながら、一日の作業の成果を眺めたり、周りのオーナーたちと言葉を交わしたりでしめくくりです。
ハーバーのオフィスに寄ってスタッフと雑談などをして車に戻り、西に傾いた太陽に目をしかめながら家に戻ります。
家に戻ると、季節を問わず、風呂に入ります。この時ばかりはシャワーではなく、なぜか風呂に入る習慣がついています。
風呂から上がってくると、比較的早い時間であってもジントニックを作って、のんびり。
夕食が終わって一段落したところで、今度はカクテル作りにかかります。私が自分のために作るカクテルはドライマティーニだけです。
二杯目を作る頃には、作業後の心地よい疲労感と酔いが体を包み、何とも言えない心地になっています。
これが私の望み得る極上の休日の過ごし方です。
ヨット乗りというのは一般の方のイメージとは全く反対で、白いスラックスにジャケットを着て船長帽をかぶっている奴には会ったことはありません。
あらゆるスポーツの中で最も薄汚い恰好の連中がウロウロしているのがハーバーです。それでもハーバーにいる連中は、とてつもない贅沢な時間を過ごしています。
心の贅沢
お金をかけるのではなく、時間をかけるのが私の贅沢です。
他人がどう見ようと構わないので、自分がこれは自分にできる最高の贅沢だと思える一日の過ごし方を見つけて、自分のライフスタイルとしていきたいと思っています。
私たちには心の贅沢が必要だと思っています。
心の贅沢というのは、自分だけの贅沢かもしれません。
他の人が見たら、なぜそんなことが楽しいのかと思うようなことでもいいのです。
かつて、地方都市で勤務していた時、大手メーカーの工場長と知り合いになりました。
この方は釣りが好きなのだそうで、ある日、ご一緒させて頂きました。
そこで驚いたことがありました。
私はルアー専門なので餌は使わないのですが、この方はルアーではないのに餌を準備せずに来られたのです。
そして、餌のない仕掛けを放り込んでのんびりと眺めているのです。
何故そんなことをしているのかを尋ねたところ、こうおっしゃったのです。
「魚が釣れちゃったら面倒でしょう?」
この工場長は東京本社での激務を経験し、やっと念願の地方都市での勤務を手に入れたそうです。
東京の雑踏から離れ、地方の漁港の防波堤でのんびりと海や星空を眺め、その後に居酒屋で一杯やるのを楽しみにされているのです。
この方と釣りに行く時は、私もガツガツと釣果を狙うのではなく、自分が狙った魚に的を絞り、外道はすべてリリースし、狙った魚を一匹だけ釣ったら、それを工場長馴染みの居酒屋に持ち込んでさばいてもらい、居合わせたお客さんにも食べてもらうことにしていました。
私にとっても東京の激務を離れたこの一瞬は貴重な贅沢な時だったのです。