右、左はライト、レフトだけではありません
ご承知のとおり日本では車が道路の左側を走り、アメリカでは右側を走ります。
ハンドルの位置も米国では反対なので、かの国で運転するときは、最初の数分間、感覚を呼び戻すのに時間がかかることがあります。
空港でレンタカーを借りても、いきなり街中に出るのではなく、駐車場の中をグルグルと回って車幅感覚などを取り戻し、ウィンカーとワイパーのレバーが逆なのに戸惑わないようにしてから外に出るようにしています。
幸いなことにアクセルとブレーキは反対についているわけではないので、それほど大きく戸惑うこともありません。
米国人に日本の車事情などを説明するときに私がよく言うジョークがあります。
「日本では車は道路のライトサイドを走るんですよ。」と言うと、大方の米国人は怪訝な顔をします。
「日本ではレフトサイドじゃないの?」
そこで答えます。
” We drive on the right side of the road in Japan, Here in U.S., however, you drive on the wrong side of the road”
たいていの米国人は笑って許してくれますし、英国人やオーストラリア人はしてやったりという顔で頷いてくれます。
しかし、右、左は必ずしもライト、レフトだけではありません。
船乗りや飛行機乗りは右をスターボード、左をポートと呼びます。
これは、大昔、まだ船の舵が今の船のように船体の最後部の中央に取り付けることができるようになる以前、船の右舷に板をロープで括り付けて舵として操船していたことに由来すると言われています。
つまり、舵のある方をステアリングボードサイド(steering board side)と呼び、それが訛ってスターボードサイドとなり、一方で岸壁に横付けする時には右側に舵がついているので、左舷を岸壁に寄せて横付けしたことから、左を港の側、ポートサイド(port side)と呼ぶようになったのです。
今でも飛行機はタラップやボーディングゲートを左側に付けて乗降します。
右側はサービス用のハッチだったり非常口だったりするのはその名残です。
なぜ、飛行機は必ず左側から乗り降りするのか疑問に思っていた方もいらっしゃると思いますが、こういう歴史的な経緯があります。
ヨットレースでは「スターボード」という掛け声がよくかけられます。
これは風を受ける舷が異なるヨットが衝突コースにある場合、右舷から風を受けているヨットに優先権があり、左舷に風を受けるヨットがそれを避けなければならないというルールがあって、自分の船が右舷に風を受ける船であることを相手に宣言して、その進路を譲れと主張しているのです。
ヨット乗りがハーバーでマストなどを大きなモノを運んでいるとき、「ちょっとどいて!」という意味で「スターボード」などと声をかけることもあります。
また海外のヨットハーバーのバーなどで「スターボード」などと声をかけられることもあります。
これは別にそこをどけ、と言っているのではなく、ヨット乗り同士で初対面の挨拶をしようぜ、というような意味です。
こういう言い回しを覚えておくと役に立つことがあるかもしれませんね。